明治36年開業、築100年以上・県内最古の木造駅舎
前回は隼人駅から徒歩で鹿児島神宮・蛭児神社へ参拝。
西郷さんにゆかりの深い日当山駅から肥薩線に乗って、嘉例川駅へ向かいます。
嘉例川駅は、明治36年(1903年)に開業。築100年以上の県内最古の木造駅舎で、 登録有形文化財にも指定されています。
鉄道ファンの間では「幻の駅」とも呼ばれており、ぜひ訪れてみたかったのです。
▼前回記事▼隼人駅から徒歩で巡るパワースポット 編
肥薩線に揺られて嘉例川駅へ
日当山駅から肥薩線に乗車。
この日当山駅をはじめ、肥薩線のほとんどの駅は無人駅です。


駅からの乗車は私を含めて2名。車内には先客が1組いらっしゃいました。どちらも地元の方のようです。
整理券を取って車内へ。だいぶ年季を感じる内装ですが、ピカピカに清掃されています。


エンジンの音を響かせながら、力強く発車しました。
所々に田園風景が広がりますが、すぐに森林の中へ入っていきます。


電車でしか楽しめない沿線の密林
すでに蛭児神社の辺りで、すごい森林だな~と思っていましたが、比較にならないくらい鬱蒼とした深い森が広がっています。
○ブログ用素材○
— こばとん🕊ひとり旅ブログ (@Kobato_trip) 2023年1月29日
日当山駅から嘉例川駅まで、肥薩線に乗車。
だいぶ年季の入った列車ですが、深い密林を力強く進んでゆきます。
存続危機も騒がれている肥薩線ですが、この車窓は他じゃ味わえません。ぜひ乗りましょう🚃#肥薩線 #車窓 pic.twitter.com/8x49DqVlOh
この森の木々、高さは優に10メートル超はあるのではないでしょうか。さすがは全国的にも有名な霧島の森です。


表木山駅・中福良駅に停車します。乗降客はゼロ。観光客も全くいませんね…。
ふと視線を上に上げると、扇風機のスイッチが。こんなの初めて見た!(笑)
本来は鹿児島・隼人駅~熊本県・八代駅まで走る肥薩線ですが、令和2年熊本豪雨の影響で現在も一部区間(八代~吉松間)が不通になっています。
車があると便利な霧島観光ですが、この沿線の風景は車では楽しめません。機会があったらぜひご乗車をおススメします♪
ついに念願の嘉例川駅へ
本当はもっと乗っていたかったのですが、20分足らずで嘉例川駅へ到着。
いつかこの列車に乗って熊本・八代までの旅をしてみたいです。そのためにも、一日も早い復興をお祈りします。
嘉例川駅の存在を知ったのは、鹿児島に出発する数日前でした。
たまたまインターネットで存在を知り、「築100年以上の木造駅舎」という言葉に惹かれて急遽旅程に組み込んだのです。


昭和天皇も訪れた嘉例川駅
大正9年(1920年)、皇太子時代の昭和天皇が高屋山上陵(彦火火出耳尊陵墓)参拝のために嘉例川駅へ降り立ちました。
宮崎駅からの臨時列車で午前11時に到着し、約2時間後には川内町駅(現・川内駅)へむけて出発。沿道には4万人以上の住民が集まったそうです。
【待合室】明治にタイムスリップ!?まるで映画セットのよう
駅の待合室に入った途端、濃厚に立ち上る明治の空気。
嘉例川駅は、明治36年(1909年)に開業。当時の木造駅舎がそのまま残っています。


元々は有人駅で、妙見温泉の湯治客や貨物の積み下ろしで賑わっていましたが、時代とともに衰退し、昭和59年(1984年)に無人化されました。


平成16年(2004年)、築100年の貴重な駅舎を保存するため、当時の隼人町がJR九州から駅舎を購入。
無人駅ながら、観光特急列車「はやとの風」が停まる珍しい駅としても有名でした(※「はやとの風」は、新型コロナウイルスの影響で当面運休)


第2代嘉例川観光大使の猫駅長・さんちゃんがいるようですが、この日はお散歩中だったらしく、会えませんでした…残念!
ボランティアによって維持されている駅舎
旧隼人町に買い取られたのち、現在の嘉例川駅は地元の自治体が管理しています。
駅舎は地元のボランティアによって維持・清掃され、大切に守られています。
【駅舎】2006年、国の登録有形文化財に指定
改札がないので、ホームと駅の外は自由に行き来ができます。
さっそく、駅の外へ出てみました。
どうですかこの外観!
まるで、ここだけ時代が止まっているかのようです。


車で来られた観光客の方々がたくさん。中にはバスツアーの一環で来られている団体の方もおられました。
写真だけ見ると秘境感のある嘉例川駅ですが、実は鹿児島空港から車で10分ほどの距離。なので道すがら立ち寄られる方が多いようです。
【駅員室】内部も自由に見学可能。季節によって企画展も
再び駅舎の中に戻ります。普通の駅だったら立ち入ることのできない駅員室も解放されていて、自由に見学できます。


昔はここに駅員さんがいたんですね。当時の姿のまま、保存されています。
昔の看板や機器なども展示されています。季節によっては、スペースを利用して様々な企画展が開かれているようです。


個人的にツボだったのは、窓口の上に掲げられていた月間収入目標。
駅員さんが、毎日の終業後に切符を集計していた姿が脳裏に浮かびます(実際にそんな作業をしていたのかは、分かりませんが…笑)


【駅周辺】静かな住宅地が広がる
駅前に猫さんがいました。駅長さんのお友達でしょうか?(笑)
写真のように、駅前は広い駐車スペースが広がっています。また、妙見路線バスもここに停車します。


駅の周りには、閑静な住宅地が広がっています。
週末だけ営業しているお土産屋さんが1軒あるようですが、この日は平日なので開いていませんでした。


周辺には公園と公衆トイレがあるくらいで、車で来られた方も大体10分程度の滞在時間で帰られたようです。


私は妙見路線バスの発車時間まで1時間以上あったので、おやつを食べたり、猫と遊んだりして時間をつぶしました。
嘉例川名物!土日祝限定の"幻の駅弁"
嘉例川駅構内では、土日祝限定で「森の弁当 やまだ屋」さんが出店しています。
目玉商品はJR九州駅弁グランプリを3連覇した「百年の旅物語 かれい川」。販売時間が限られているうえに数量限定のため、"幻の駅弁"とも呼ばれています。
なんと電話での予約も可能なので、確実に食べたい方は事前に予約しておきましょう! ( 参考リンク: 森の弁当 やまだ屋公式サイト )
【まとめ】一度は訪れる価値あり、
時間通り妙見路線バスが到着。名残惜しさを残しつつ、駅を後にします。
はじめ「築100年以上の木造駅舎」と聞いたときに、失礼ながらもう少しボロボロなものを想像していました。
しかし現役の駅舎なだけあって、明治開業の時代感を残しつつ内部はしっかり整備されており、敷地外にある公衆トイレも至って清潔でした。
変な言い方ですが、都心部の有人駅よりもよほどキレイです。



これも地元のボランティアさん達によってしっかり維持・清掃されているからであり、観光で訪れる方はしっかりマナーを守る必要があります。
記事中にもあるように、駅舎に訪れる方はほとんどが自家用車やレンタカーで訪れており、私が滞在している間は電車の乗降は0人でした。
先述のようにこの駅は無人駅ゆえ改札がなく、車で来た人でも自由にホームに出入りできます。観光施設ではないので、入場料などはありません。
しかし、本来駅というものは電車を利用する人が入る場所であり、有人駅の場合は乗降以外の用事で入る人は入場券を買う必要があります。



なんだか、少々辛辣な言い方になってしまいましたが(苦笑)。
先日多くの地方鉄道が赤字によって廃線危機に陥っているというニュースを見て、この嘉例川駅の知名度をなんとか肥薩線維持のために活用できないか…と思った次第です。
いつまでも残っていてほしい場所、嘉例川駅。
再訪したくなる場所が、また一つ増えました。
猫「また来てにゃん」
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