清流・四万十川を車窓から独占する、贅沢すぎるローカル線の旅
四国ひとり旅3日目、この日は電車で宇和島から高知県へと向かいます。
宇和島駅→窪川駅までは、JR予土線が満を持して投入した観光列車「予土線3兄弟」の次男・かっぱうようよ号に乗車。
この路線の最大の見所は、車窓から楽しめる日本最大の清流・四万十川の絶景です。
運良くこの日は晴れ。名にし負う四万十川と四国山脈の絶景を、これでもかというほど堪能できました。
長時間の乗車でしたが、車窓から楽しむ名所・沈下橋や珍地名で有名な半家駅など、見所がたくさんで全く飽きませんでした。
カッパに囲まれた1両編成のローカル線で行く、2時間10分ののんびり旅です。
JR宇和島駅から「かっぱうようよ号」に乗車
予土線の始発駅・宇和島
令和5年お正月。私が宇和島を訪れたのは、年に4回だけ開催する宇和島闘牛を見るためでした。
宇和島駅はJR予讃線・予土線の始発・終着駅。
ずいぶん中途半端な形で線路が途切れているのは、昔さらに南へ宿毛線を敷設する計画があった時の名残のようです。
さて今回乗車するのは、予土線3兄弟の次男「かっぱうようよ号」です。
これは2013年から翌年にかけて相次いで投入された観光列車で、長男がトロッコ車両を連結している「しまんトロッコ号」、3男が0系新幹線風の「海洋堂ホビートレイン」です。
観光列車といっても特別料金が発生するわけではなく、普通ダイヤに組み込まれて運行されています。(※「しまんトロッコ号」のみ、トロッコ車両に乗車する場合は座席指定券が必要)
本当にカッパだらけの車内
車内に入って面食らうのですが、本当にいたる所にカッパがうようよしています。
まず床面には大きなカッパのペイント。
わざわざ2シート分の座席を犠牲にして設置されたショーケースには、カッパのフィギュアやジオラマがたくさん。
ショーケースは「四万十ひのき」を使用しているそうです。
ケース内にはよく集めたな、というくらいカッパ関連の作品がうようよしています。
ジオラマは海洋堂が制作しているだけあって、かなり力が入っています。
つり革までカッパ模様という凄まじい徹底さ。
おもしろい、おもしろすぎるぞJR四国!!
そして車内には、カッパ親子の先客が…。
ただでさえ少ない座席を2匹が占拠。
もしもこの列車で通勤ラッシュに遭遇したら私は怒るでしょう。
さては運転席にもカッパが…!?と期待したのですが、さすがにそれはありませんでした(笑)
電車は宇和島駅からの乗車14人と2匹を乗せて、12:18に発車しました。
トイレチャンスは1回だけ
直後に、車掌さんから新年のご挨拶や四万十川の紹介を交えた、好感のもてるご挨拶。
1時間ほど長閑な里山風景が続き、途中の乗降はほとんどありませんでした。
13:23、中間地点の江川崎駅に4分ほど停車します。
車内にトイレはなく、他の駅の停車時間は10秒くらいなので、2時間超の乗車でここが唯一のトイレチャンスです。
私はトイレが近いので、ネイマールばりの決定力でこの1回のチャンスをモノにする必要があります。
次の駅の「はげ」がめちゃくちゃ気になるのですが、急いでトイレへ。
この駅は西日本一暑い駅に認定されているらしいです。それにしても、41度って…(笑)
改めて遠めに「かっぱうようよ号」を見ると、いかにものすごいデザインかがよく分かります。
車窓を右へ左へ!四万十川の絶景
左右どちらの座席からも楽しめる
そして江川崎から先は、待ちに待った四万十川が車窓から見えます。
まずは進行方向の右側!見てくださいこの青さ。
産まれて初めて見る、清流・四万十川。感動もひとしおです。
四万十川沿いに走る予土線。
— こばとん🕊ひとり旅専門の人 (@Kobato_trip) 2023年2月26日
清流に映る青空が、美しい。天気の良い日は、本当に天国のような路線です🚃#予土線 #四万十川 pic.twitter.com/oLdEASgSlQ
四万十川は、長さ196km・四国最長の一級河川。
全国屈指のアユの産地でもあり、解禁後はたくさんのアユ漁師で賑わうことでしょう。
ほどなく進行方向の左側へ。ここから先は川が蛇行しているので、左右どちらに座っても楽しめます。
場所によって川幅が狭くなったり、渓流のようになったり、1つの川なのに様々な表情を見せてくれます。
四万十川の知恵・沈下橋
車窓からは、沈下橋もいくつか見えます。
沈下橋、というのは川が増水した時に敢えて川中に沈めてしまうよう設計された橋で、沈下後の水圧を避けるために欄干がないのが特徴です。
JR予土線の車窓から眺める四万十川の絶景。
— こばとん🕊ひとり旅専門の人 (@Kobato_trip) 2023年2月26日
途中、いくつかの沈下橋も見れました📸 pic.twitter.com/gFLu8JO5Wt
四万十川には全部で47の沈下橋があり、予土線から見えるのは若井沈下橋などの10橋ほどです。
ちょっと距離がある上に、短時間で通過するので予めGoogleマップなどで橋の位置を確認しておきましょう。
家地川駅の近くに一際大きな人造物が見えますが、これは佐賀取水堰という戦前に作られたダムの一種。
ちなみに、堰堤の高さが15m以上で「ダム」、以下だと「堰堤」と区別するそうです。豆知識。
「はげ」駅の正体
ローカル路線の駅名標を撮影するのが好きなので、運よく車窓前に駅名標が来たときはシャッターを切っていました。
…駅名標で思い出すのは、先ほど江川崎駅で見た「はげ」の正体。
これは決して「次の駅に行くと禿げますよ」という警告ではなく、れっきとした「はげ」駅が存在するのです。
ただし、残念ながら(?)「禿駅」ではなく「半家駅」と表記されます。
引用元: https://www.kotobus-express.jp/column/2020/01/post-145.html
源平合戦の敗戦後、この地に流れてきた平家の落人が源氏の追跡をかわすために「平家」の1画目を下げて「半家」に変えたのが地名の由来だと言われています。
珍地名として有名なだけあって、駅に到着するとたくさんの同士が駅標名前に殺到し、結局写真は撮れませんでした…。
恐るべし、ハゲ人気。
終点・窪川駅に到着
定刻通り14:27に窪川駅へ到着!
長旅でしたが、乗車時間の半分は四万十川と並走するので、全く飽きなかったです。
かっぱうようよ号とも、ここでお別れ。最後に、ホームの反対側から撮ってみましたが圧倒的存在感。
これからも、元気に四国の里山を走ってください!
やや難点なのは、窪川から先に向かう電車への接続が悪い点で、次の電車は15:51発の特急あしずり12号。
お正月なのでカフェや飲食店も営業しておらず、同乗の方々は時間潰しに難儀しておられるようでした。
駅周辺の観光スポットは、徒歩10分ほどの距離に、四国八十八ヶ所霊場の37番札所・岩本寺があります。
神社仏閣に目のない私は、もちろんここへと向かいました。
こちらは次回記事にてご紹介します!
▼ 前回記事はこちら ▼