【珍スポット】突撃!別府・鉄輪温泉にある「謎の穴」を調査せよ!!

案内図に突然登場する「謎の穴」とは一体…!?

 

日本一の温泉湧出量を誇る別府温泉。

 

この別府温泉を全国的に有名にした要因の一つに、別府地獄めぐりがある。

 

地獄、というのは地中から湧く温泉の噴気や間欠泉などを地獄に見立てた観光施設で、組合に加盟しているだけでも全部で7か所ある。

 

そのうちの5つがあるのが、別府最大級の温泉街・鉄輪温泉だ。

 

 

そんな鉄輪温泉に、「謎の穴」という摩訶不思議な珍スポットがあるとの情報を入手した。

 

それも決して有名ではなく、情報源もほとんどない、知っている人もほぼいない、という訳のわからないスポットだ。

 

「本当にあるのかよ!?」と思いつつ、調査隊(※一人です)は大分県・別府へと飛んだ。

 

突撃、別府「謎の穴」を調査せよ!!

 

【移動】鉄輪温泉へやってきた

 

大分県・別府へやってきた。

 

東京・羽田空港から大分空港までは約1時間半。大分空港から別府駅まではバスで約40分と、比較的容易にアクセスできる。

 

 

別府といえば温泉だが、地獄めぐりも有名だ。

 

これは温泉の噴気などを利用した観光施設で、エメラルド色の池が美しい海地獄や、間欠泉が噴出す龍巻地獄など、全7ヶ所だ。

 

 

中には、突如寺院の地面が爆発し、寺・住職もろとも飲み込んだという本当に地獄みたいな地獄もある。

 

 

そんな地獄めぐりのうち5つが、鉄輪温泉街にある。

 

鉄輪温泉は別府の温泉街の中でもおそらくナンバーワンの人気度で、徒歩で十分回れるエリアに立ち寄り湯・商店・旅館・飲食店などが密集している。

 

 

温泉界の新宿歌舞伎町のような街だ。

 

街のいたる所から温泉の噴気が噴き出しており、街中に温泉の香りが充満している。

 

 

昔、滋賀県が「近江県」に改名しようとして顰蹙(ひんしゅく)を買っていたが、大分県が「温泉県」に改名しても、誰も文句をいわないだろう。たぶん。

 

そんな鉄輪温泉に2022年新規オープンしたのが、地獄温泉ミュージアムだ。

 

 

【情報】これが唯一の情報源・・・!?

 

地獄温泉ミュージアムとは

地獄温泉ミュージアムは、3D技術を駆使したプロジェクションマッピングや迷路・スタンプラリーなどを通じて、雨が温泉に変化する過程を学べる施設だ。

 

 

1階にはカジュアルなカフェや、物販も併設されている。

 

 

…なんとなく分かると思うが、これはパリピな若者の間で流行っているリアル謎解きゲームやリアル脱出ゲーム等の、明らかに体験型アミューズメント系の客層をターゲットにした施設らしい。

 

なので30間際の男が1人旅のついでに入ってもしょうがないと思うのだが、物は試しで入場してみた。

 

 

入場料は1,500円。地獄めぐりとのセットチケットなどもある。

 

 

 

 

…結論から言うと、乗り物や視覚的な刺激に弱い人は、あまり楽しめないだろう。

 

なんて書くと営業妨害だ!とオシカリそ受けそうだが、実際ミュージアムのチケット購入口にも「乗り物に酔いやすい方」はご注意ください、と書いてある。

 

 

私は自律神経失調症の関係でこういったものに弱かったので、3D映像はほとんど目を閉じていた。

 

無論、3DゲームやVRに慣れた最近の若者であれば、何ら問題ないだろう。

 

どちらかというと、オジオバ年金旅行色の強い別府において、若者層をターゲットにした斬新な施設ではないかと思う。

 

 

この日は、期間限定の地獄展が行われていたが、別府と地獄に関する民俗的背景が詳しく知れて、興味深かった。

 

 

 

謎の穴の地図

話がそれてしまったが、今回の主題である「謎の穴」のヒントは、このミュージアムにある。というか、ここにしかない。

 

入り口を入ってすぐ右の壁に、別府温泉街を描いたコミカルなマップがある。

 

 

実際に現地で見てほしいのだが、猫がくつろいでいたり、鬼が地獄で昼寝していたり、ウサギが風呂桶を持って走っていたり、なかなか目を楽しませてくれる。

 

そんなマップの中に、突然謎の文字が

 

 

「謎の穴」

 

 

なんだこれは!?

特に説明書きはないので、本当に情報はこれだけだ。

 

 

謎の穴と聞いたときに、シベリアに突然直径数メートルの穴が出現したというおそロシア的ニュースを思い浮かべた諸君も多いのではないだろうか。

 

(引用元: カラパイア)

 

「謎」はもちろんだが、「穴」という言葉にもなんともいえない誘惑を感じるではないか。

 

これが「謎の川」とか「謎の公園」だったら、そこまで魅力を感じないだろう(たぶん)。

 

ここは突撃調査隊としては見逃すわけにいかない。ほうほうのていでミュージアムを退場し、鉄輪温泉街へと進軍していった。

 

 

【発見・調査】いでゆ坂の脇道に、それはある

 

謎の穴へ行ってみた

地図によると、「謎の穴」があるのは温泉街の中心を通る「いでゆ坂」の脇道で、温泉山永福寺といういかにも福がありそうな名前のお寺の裏らしい。

 

途中、猫に遭遇したが明らかに「あんたそんなもん探してんの」と言う顔をしている。

 

 

途中に地獄蒸し工房鉄輪という、レストランや足湯が併設された施設がある。

 

六角堂のような特徴的な建物なので、これを目印にすると良い。

 

 

ここを過ぎてすぐ、左への脇道がある。細い路地なので、注意していないと通り過ぎてしまいそうだ。

 

ここを曲がってすぐ、それはあった・・・。

 

 

地面に、なにやら不審な陥没が。ひょっとして・・・。

 

 

これかーー!!!

 

「謎」とつく物象の発見は大概難しいものだが、いとも簡単に見つかってしまった

 

 

人通りの多いいでゆ坂と違って、ここは人が通ることもほとんどなく、閑静な住宅が点在している。

 

近隣住民の迷惑にならないように、静かに素早く、調査を開始した。

 

 

 

観察してみた

まず、この道路の幅は車1台がようやく通れるほどだ。大型車の通行は困難だろう。

 

穴はほぼ同じ大きさのものが2つあるが、一方が道路のほぼ中央に位置するのに対して、もう一方は歩道よりで、等間隔とは言い難い

 

まず、手前・いでゆ坂寄りの穴を観察してみよう。

 


穴の直径は目測で5cmほどだ。ほぼ円形のまま、地中まで続いている。

 

穴の中は暗闇でよく分からないのだが、底のほうで水の流れる音がする。

 

この穴の5mほど先には用水路があって、道路の地下に向かって温泉が流れている。方向的に見て、この道路の下は地下用水路になっているとみて間違いない。

 

 

続いて、もう1つの穴を観察してみよう。

 

穴の直径はほぼ一緒だが、先ほどの穴よりも若干荒削りとなっているせいか、少し大きく見えなくもない。

 

自然に開いた穴と考えるには明らかに整いすぎており、間違いなく何らかの目的で人為的に開けられたものだろう。

 

 

少し断面が赤茶けて見えるのだが、これは土なのか、温泉成分による変色なのかは判別不能だった。

 

それでは、2つの穴をそれぞれ別角度から。

 

 

写真を見てピンとくる人もいるかもだが、地中に埋まっていた何かをある一方向に向かって引っこ抜いたかのような跡がある・・・気がする。

 

穴の深さは不明だが、底から聴こえる水流音の感じからすると、50cmほどで貫通しているのではないだろうか。

 

指をつっこんでみたい衝動に駆られたが、いきなり電気ビリビリとかなったら嫌なので、やめた。

 

 

【考察】その正体は一体…?

 

本当に謎が多い穴だが、この正体についていくつかの説を考えてみた。

 

●道路標識跡説

この穴を見て真っ先に思いつくのが、昔ここに道路標識の支柱が刺さっていたのではないか?という説だ。

 

かつてここに「徐行」とか「トマレ」の標識があったが、現在は撤去され支柱が埋まっていた穴だけが残った…という、いたって自然な説だ。

 

しかし、もう一度写真を見てほしいのだが、この穴は標識にしてはずいぶん中途半端な位置にある。

 

 

ただでさえ狭い道路なので、仮にこの位置に標識の類が立っていたら車の通行は不可能になる。

 

また、道路標識の支柱は外径が60.5mmという規格が定まっており、この穴のサイズには合わない。

 

 

しかし念のため、付近の道路を調査して同じような外形の道路標識がないか確認してみたが、当然ながら発見できなかった。

 

 

 

●水質調査用の穴説

穴の下に温泉が流れていることから想像したのが、水質調査用に意図的に空けてある穴ではないか?という説だ。

 

この穴から探知機か何かを差し込んで、地下を流れる温泉の水質を調査する目的だ。

 

↑水質調査における採水作業の一例 (引用元: 株式会社アイノス)

 

しかし、先述のようにこの穴の下を流れている水源は、数メートル先に露出しているので、わざわざ穴を空ける必要がない。

 

そして、仮にそういう目的の穴だとしても何も一般道のど真ん中に空ける必要は、ないだろう。だって危ねぇもの。

 

●旧日本軍or進駐軍の地下壕説

だいぶ前の話だが、別府の商業高校の地下に謎の地下トンネルが見つかったと言うニュースがあった。

 

また、別府市には戦時中に多数の防空壕や地下壕が掘られ、今でも少数だが現存しているらしい。記録に残っていない壕も、多いだろう。

 

そのような未知の地下空間があって、その空気穴として開けられた可能性を考えてみた。

 

が、先述のように穴の下には比較的浅い位置に温泉が流れている。なので地下空間があることは、あり得ない。

 

●工事中のうっかりミス説

工事中、固まる前のコンクリートにうっかり穴を空けてしまって、そのまま固まってしまったという可能性を考えてみた。

 

が、普通に考えてどこかのタイミングで気が付くだろうし、だいいち直せよという話になるので、たぶんないだろう。

 

 

 

●誰かのイタズラ説

誰かがイタズラで穴をあけた、という可能性も考えてみた。

 

しかし穴の深さは数10センチはあり、削岩機でも使わない限り不可能だろう。

 

その場合、間違いなく音でバレるので、温泉街の中心で実行するのは無理だ。

 

↑削岩機による作業の一例。間違いなく近所迷惑級の音がするだろう。(引用元: 街の屋根やさん)

 

唯一の可能性としては、工事造成中でまだ固まる前のアスファルトに棒か何かをぶっ刺せば、実行可能であるかもしれない。

 

が、その場合でも施工業者が気が付かないわけがないので、可能性は薄いだろう。

 

●ぬこ説

この鉄輪温泉街には、猫が多い。

 

この猫たちがタイソン級の強烈猫パンチを繰り出して、道路に穴を空けた可能性も考えてみた。

 

猫パンチの威力は秒速22mほど。時速に換算すると75km/hで、東京ディズニーシーの人気アトラクション、センター・オブ・ジ・アースよりも速い

 

↑ディズニー最速のアトラクションだが、実は猫パンチよりも遅い。(引用元: 東京ディズニーリゾート)

 

それでも、オオタニサンの最高球速が162km/hであることを考えると、あまり高威力とはいえない。

 

いくらニャンでも、彼らに厚さ数10cmのコンクリートをぶち抜く事は、不可能だろう。

 

そこで別府の猫には、突然変異で手に電気ドリルがついているのではないかという可能性も疑ってみたが…。

 

 

その心配はないようだ。

 

 

その他、地底人説や別府地獄の鬼がこん棒でぶち空けた説とかも考えてみたが、読者のマウスカーソルがブラウザの×ボタンにいきそうなので、やめる。

 

 

【まとめ】「謎」は我々の足元に・・・

 

情報源もなく、決して有名でもない。しかし観光ついでに容易にアクセスできる「謎の穴」

 

その正体は結局不明であったが、謎は解けないままのほうがいいのかもしれない。

 

あっさり正体が判明してしまっては、誰もこの穴に見向きもしないだろう。

 

実際、私も地獄温泉ミュージアムの地図で「謎の穴」という文字を目にしていなければ、こんな穴は目にも留めなかったであろう。

 


それくらい、周囲の風景に自然に溶け込んでいる「謎の穴」。

 

「謎」というものは、案外我々の足元に転がっているのかもしれないーーー

 

 

そう気づかせてくれる、不思議なスポットでした。

 

 

ちなみに、先述の通り「謎の穴が」ある道路は民家に面しているので、間違っても騒いだりしてはいけない

 

それでは、また次回の突撃レポートでお会いしよう!!

 

 

 

 

アクセス情報
◆「謎の穴」所在地◆【住所】〒874-0044 大分県別府市風呂本付近
【バス】亀の井バス「鉄輪口」停から徒歩2分
*観光地ではありません。住宅地ですので、住民の方の迷惑にならないようにご注意ください。