時刻表の変更に要注意!海抜345m手蓑峠越えの絶景バスルート
鹿児島ひとり旅2日目、この旅の最大の目的である知覧特攻平和会館へと向かいました。
市内から知覧へは約35km。公共交通機関でアクセスする場合は、鹿児島交通の路線バスが出ています。
しかしこの路線、ネットで検索してもあまり詳細がヒットせず、かつ過去に何回か時刻表の改定があり、ネット上で新旧の情報が入り乱れているので、注意が必要です。
この路線の最大の見所は途中にある手蓑峠(てみのとうげ)。車窓から見える錦江湾の絶景は圧巻です。
知覧武家屋敷へも同じバスで向かえるので、併せてご紹介します。
天文館通りから鹿児島交通へ乗車。最新の時刻表は...
天文館にも停まる!鹿児島中央駅始発ではないので注意
知覧への行き方ですが、知覧特攻平和会館の公式サイトには「鹿児島中央駅の東16乗り場から知覧行きのバスに乗車」と書いてあります。
これだけ読むと、てっきり鹿児島中央駅が始発のように見えますが、実際は金生町始発です。
天文館通りや加治屋町を含めて、市電沿いの複数の停留所に停まるので、近くにいる方はわざわざ駅まで向かう必要はありません。
天文館停の発着は⑤のりば。気をつけてほしいのが、この路線の時刻表は過去に何回か改正されています。
ネット上には鹿児島市内~知覧行きのバスの情報が少なく、私が行った昨年11月当時は新旧の時刻表が混在していました。
正しい時刻表は南九州市の公式サイトに掲載されています。
ページ下部の「添付書類」から、最新のPDFをダウンロードできるので、予め印刷するかスマホに保存しておくことをオススメします。
ただでさえ本数が少ない路線なので、ここを間違ってしまうと旅程が大きく狂ってしまいます。ご注意ください。
バスは一般的な路線バスで、運賃は後払い。天文館からの乗車は数人でしたが、鹿児島中央駅からたくさんの人が乗ってきました。
この段階で乗車率は50%ほど。半数が市内で降りていかれました。
隠れ絶景スポット!?清見橋から見える桜島
途中、バスの左側に座っている人が一斉にカメラのシャッターを切ったので「なんだ?」と思って見たら、、、
錦江湾に浮かぶ桜島。ここは鹿児島中央駅から15分ほどの清見橋という場所です。
桜島が見えるのは一瞬なので、お見逃しなく!
タイミングが合えば、市電と桜島を同じフレームに納められるかも!?
平川から先は手蓑峠越え、絶景の錦江湾が見える座席は...左側!
バスに揺られて約50分、平川ヨットハーバーのあたりからも桜島が望見できます。
ちなみにJR平川駅から最寄のバス停までは徒歩5分。旅程によっては、電車とバスの組み合わせで知覧まで行くことも可能です。
バスは坂之上~平川までJRの路線と平行して走るので、時間によっては特急指宿のたまて箱と並走したりします。
平川から先は手蓑峠という、海抜345mの峠を越えていきます。
カーブ連続の山道なので、左右にけっこう揺れます。
乗り物酔いがしやすい方は、念のため酔い止めを服用しておいたほうが良いかもしれません。
バスはしばらく森の中を走りますが、峠の中腹に差し掛かると突然目の前に錦江湾の絶景が。
この時、私はバス右側に座っていたので写真を撮ることができませんでした。ミスったー!
なので、これは帰りの写真(^^;)。
車線の関係で上手く撮れていないのが、悔しいです。この絶景を見られるのは、進行方向左側です(知覧→鹿児島市の場合は逆)。
知覧武家屋敷までは約70分、「武家屋敷入り口」で降車
のどかな山間部を進むこと約70分、石灯籠がたくさんある、知覧武家屋敷街に入りました。
武家屋敷を観光する方は、武家屋敷入り口停で降車してください。
武家屋敷を過ぎると、数分で終点に着きます。
知覧特攻平和会館へ向かう場合は、途中の知覧停ではなく、終点の特攻観音入口停で降車してください。
天文館から約1時間30分、お疲れ様でした♪停留所の目の前には、武家屋敷らしく甲冑が出迎えてくれます。
鹿児島方面のバス停は道路の反対側にあります。
1~2時間に1本しか出ていないので、予め帰りのバスの時刻を確認しておきましょう。
江戸時代の趣きを残す、知覧武家屋敷
「薩摩の小京都」とも呼ばれる知覧武家屋敷。現在残る武家屋敷群は第18代知覧領主島津久峰の時代に造成されたもので、昭和56年(1951年)には国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれました。
現在では電線の埋設や、道路を庭園の庭土と同じ色に舗装するなど、官民一体になって景観保存の街づくりが行われています。
知覧特攻平和会館へ、若き青年たちの遺筆に涙
停留所を降りたら、お茶屋さんや駐車場を通り抜けて平和会館へと向かいます。目印は大きな知覧茶のモニュメント。
なんというか、豪快(^^;)笑
一式戦闘機「隼」と航空自衛隊初等練習機「T-3」
噴水が見えてきました。すぐそばには映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」の撮影で使われた一式戦闘機「隼」のレプリカが展示してあります。
若き特攻隊員の銅像「とこしえに」と、自衛隊の初等練習機T-3。実際に山口県の航空自衛隊防府北基地で飛行していたものです。
知覧特攻平和観音堂。まずはここに参拝して、若くして散っていった特攻隊員たちに合掌しました。
特攻隊員たちが最後の日々を過ごした、三角兵舎
観音堂の脇には、特攻隊員が出撃までの日々を過ごした三角兵舎が復元されており、内部も自由に見学できます。
当時の写真も展示されています。兵舎が半分地面に埋まっているのは、上空の敵機を欺瞞するためです。
知覧特攻平和会館へ
館内に入ります。入場料は大人500円・子供300円。年中無休で営業しており、この時は修学旅行生の団体もいました。
スタッフさんは、みんな親切です。
展示物の解説は変に右とか左とかのイデオロギーに染まっておらず、淡々と悲劇の事実を伝える姿勢に好感が持てました。
ロビーには大きな一枚絵が。
宮崎県の画家・仲矢勝好氏の「知覧鎮魂の賦」。
墜ちゆく隼から、特攻隊員の魂を6人の天女が救い出している絵です。その壮絶さに、思わずじっと見入ってしまいました。
海底から引き上げられた零式艦上戦闘機
館内は撮影禁止ですが、先ほどのロビーと零式艦上戦闘機が展示されているエリアは撮影可能です。
通称ゼロ戦。これは昭和20年(1941年)5月に鹿児島県甑島沖合い、水深35mの地点に墜落していたものを、戦後になって当時の知覧町が引き揚げた機体です。
35年間海中にあったため機体後部は欠損している無残な姿ですが、前部にあった操縦席やエンジン・機銃などは比較的状態が良く、当時の姿を偲ばせます。
館内には特攻隊員の絶筆や寄せ書き、郷里の母や妹に向けた遺書が所狭しと展示されています。
あまりに生々しい展示に、ハンカチで目元を押さえているご婦人もいました。
そのほか四式戦闘機「疾風」や海上特攻艇「震洋」、特攻作戦に関するビデオ上映や特攻で使われた飛行機模型の展示など、コンパクトな館内にこれでもかと言うほどの展示物が凝縮されています。
滞在時間は最低でも1時間、周辺の史跡などを含めてじっくり見学するなら2,3時間は見ていたほうが良いでしょう。
最年少の特攻隊員は17歳
沖縄戦で出撃した陸軍の特攻隊員は総勢1,036名。そのうち最多の402人が、この知覧基地から飛び立ちました。隊員の年齢は17歳から32歳まで、平均21.6歳でした。
周辺に遺る戦争遺跡
この知覧平和記念会館周辺は、かつて陸軍の知覧基地でした。当時の史跡が、現在でも残っています。
平和会館のすぐ近くにあるのは2箇所で、ひとつはこの弾薬庫跡です。
この中に、訓練用の実弾を保管していました。壁面には、戦争末期に米軍の空襲で攻撃された弾痕が無数に残っています。
平和会館からは、先ほどの「隼」の背後にある野球グラウンド沿いに歩いて5分ほど。
もう一つの史跡は弾薬庫のすぐ側、閑静な住宅地の中に訓練機の潤滑油やグリースを保管していた油脂庫跡です。
こちらにも空襲で攻撃された弾痕跡があり、先ほどの弾薬庫跡よりもその跡がハッキリと分かります。
知覧陸軍基地の歴史
太平洋戦争開戦直前の昭和16年(1941年)12月に、太刀洗陸軍飛行学校知覧分教所として完成。翌年に知覧教育隊へ名称が変更されたが、戦況の悪化に伴い昭和19年(1944年)末に教育が廃止。
沖縄戦勃発後からは沖縄方面への一大襲撃基地となり、多数の特攻機が出撃した。
帰りも同じバスで鹿児島市内へ
帰りのバス停は、大通り挟んで反対側にあります。武家屋敷をハシゴで観光する方も、こちらのバス停から乗車します。
バスは定刻とおり13:26に来ました。特攻観音入り口停からの乗車は3名。武家屋敷入り口停からは団体の方が10人ほど乗車してきました。
帰りは少し道路が混んでいて、定刻から10分ほど遅れて鹿児島市内に到着しました。
【まとめ】片道90分のバス旅、半日かけても行く価値は充分にあり
鹿児島市内から知覧までは、片道90分。行く前は「ずいぶん長いな~」と思っていたのですが、市内では市電やJRの路線と平行して走り、平川では錦江湾に浮かぶ桜島の勇姿を拝み、手蓑峠では標高345mから見える絶景。
知覧市に入ってからは官民一体となって景観保存に努める美しい町並みが見え、全く飽きることなく90分を過ごせました。
知覧特攻平和会館では、若くして国のために散っていった特攻隊員たちの無数の資料を目の当たりにし、改めて平和について考えさせられました。
我々が日々送っている安穏な日常は、こういった犠牲の上に成り立っているのだと思うと、涙が止まりません。
私は体力の関係で見送ったのですが、平和会館と知覧武家屋敷をセットでの観光がオススメ。今改めてこの記事を書いていて、「なんで武家屋敷に行かなかったんだぁー!」と、とても後悔しています(^^;)笑
のんびり車窓に揺られながら、歴史に思いを馳せる知覧への旅。平和に感謝し、自分を見つめなおすためにも、ぜひオススメします。
(※記事中の情報は2023年1月現在の情報です)
↓ 前回の記事: 鹿児島市内の西南戦争史跡探訪記はこちら ↓