古事記・風土記にも登場、古代から信仰される古社
四国ひとり旅4日目、前日はJR予土線から四万十川の絶景を堪能し、特急を乗り継いで夕方に高知駅へ到着。
翌朝は、バスに揺られて神社仏閣巡りをしました。最初に向かったのは土佐神社。
日本書紀にも登場し、中世以降は土佐国の総鎮守と崇敬されている由緒ある神社です。
境内には幹周り9メートルのご神木や、古代祭祀の痕跡が残る「礫石」、鎮守の森をめぐる「しなねの森巡り」などなど。
歴代藩主や戦国武将に深く信仰された、見所がたくさんの神社でした。
- 古事記・風土記にも登場、古代から信仰される古社
高知中心部からバスで約20分、土佐神社に行ってみた
土佐神社は高知市の東端にある一宮(いっく)しなねという場所にあります。
一宮しなね、というのは土佐神社由来の地名で、今でこそ市の中心地から離れているものの土佐国の中では比較的早くに開かれた土地でした。
10:26北はりまや橋停発車のバスに乗車。高知駅バスターミナルを経由して、土佐神社前まで走ります。
北はりまや橋停は、ちょうどアンパンマン像がある辺りです。
この日はちょっと自律神経の調子が悪かったので、バスの中でひたすら瞑想。。
【楼門】2代目土佐藩主山内忠義の創建
20分ほどで土佐神社前停に到着。バス停から歩いてすぐに、楼門があります。
この楼門は寛永8年(1631年)、2代目土佐藩主山内忠義によって建立されたもので、国の重要文化財に指定されています。
土佐神社の創建時期は不明ですが、古事記や土佐国風土記に登場することから、相当古くから存在していると思われます。
鎌倉時代には土佐国総鎮守一宮となり、武家や戦国大名から大いに信仰されました。
【本殿】戦国大名・長宗我部元親によって造られた、社殿の数々
長い参道を歩いて、到着!!
お正月らしく、鳥居の両脇に門松が飾られていました。
手水舎の龍がつけていたマスク、ちょっとサイズが合っていないような(笑)
それにしても、さすがは土佐国一宮。たくさんの初詣客で賑わっています。
まずは本殿に参拝。ちょうどご祈祷の最中だったので、写真は控えめ。
立派な木造本殿はじめ、境内の主な社殿は室町時代に戦国大名・長宗我部元親によって建立されたものです。
元々あった本殿は、永正年間に勃発した岡崎城攻防戦の戦火で消失したため、元亀2年(1571年)に再建されました。
祭神は味鋤高彦根神と一言主神の2柱。
家内安全・農産繁栄・建設・政治にご利益があり、さらに航海・交通安全、病気平癒の神様として崇拝されています。
また、ここは2010年放送のNHKの大河ドラマ「龍馬伝」のロケ地にもなっています。
【輪抜け祓い所】茅の輪作法で、厄を払う
境内で参拝客がグルグル回っている場所があったので、なんだ?と思ったら「輪抜け祓い所」でした。
なるほど、茅の輪くぐりと一緒の作法ですね。
ただ、くぐるのは茅の輪ではなく大きな切り株。
1枚写真を撮らせていただきましたが、本当に大きいです。
この切り株は、もともと樹齢800年超のご神木だったのですが、倒木の危険があったためやむなく伐採されたものです。
【夫婦岩・ご神木】幹周り9メートルの大木
また少し奥まったところに夫婦岩が見えました。
元は禊神事を行う場所にあったのが、河川改修工事のためこの場所に移設したようです。
そしてその突き当りに、ご神木。これは本当に大きくて、ビックリします。
調べたところ、幹周りのサイズはなんと9メートル。大人が4人くらい輪になってようやく収まる大きさです。
御神木に、謎の白い光が!!
…まぁ、ただのレンズフレアなのですが。
こういうの、本気で信じちゃう困った人もいるんだろうなぁ。
【鼓楼】鮮やかな造形に注目
こちらは大きな鼓楼。楼門と同じく、2代目藩主の山内忠義によって400年近く前に建立されたものです。
この建物の中には太鼓があって、昔はそれを鳴らして時を告げたそうです。こちらも重要文化財指定。
その隣には石で囲まれた区画がありました。
特に案内はないのですが、祭事で使う神聖な場所だと思われます。
こういう場所、うっかり足を踏み入れると巫女さんに注意されたりするので、気をつけないとです(笑)
【厳島神社】境内の池に浮かぶ社
鼓楼の裏手に池があり、小さい橋を渡った先に厳島社があります。
言わずと知れた宮島・厳島神社の分社で、弁財天を祭っています。
芸能向上のご利益があるので、芸能関係者に強く信仰されている神様です。
【境内社】事代主命・大国主命など3神を祀る
本殿の向かって左に境内社が3社。
中央が西御前社。家庭円満にご利益があるそうですが、ご祭神は不明なようです。
向かって左が事代主神社、右が大国主神社。共に商売繁盛と諸業繁栄のご利益があります。
鎮守の森パワーを実感、しなねの森めぐり
所要時間5分・鎮守の森散策路
事代主神社に、ちょっと気になる案内板が。
「しなねの森めぐり」??約5分らしいし、行ってみるか。
ここは、本殿裏に広がる鎮守の森を半周する遊歩道のようです。
背の高い木々に囲まれていて、なんとなく幽玄な雰囲気を醸しています。
歩いていくと、徐々に本殿の喧騒が遠ざかっています。
おお、なにやら大きなご神木が見えてきました。
素晴らしい生命力を感じます。
樹齢等の情報はありませんが、見た感じそこまで老齢でもなさそうで、若さに漲っているようです。
珍建造物!? 旧防火水槽
次に、何やら埋没した倉庫のようなものが…。
さては戦時中の防空偽装か!?
とっさに思い出したのが、鹿児島県・知覧特攻平和会館で見た三角兵舎。
敵機から発見されにくいように、半分地面に埋め込まれているのが特徴です。
しかし、これは半分どころかほぼ全部埋没してるぞ(笑)
接近。正体は、どうやら昔の防火水槽らしいです。
地面に埋め込んでいる訳ではなく、水面の直上に屋根を設置したので、このような不思議な形になったのですね。
神社ではなかなかお目にかかれない、珍建造物でした。
【神名宮】小高い丘にお伊勢様を祀る
なかなか深淵な森です。神社の喧騒も、ここだと全く聞こえません。
そんなに距離は離れていないのに、不思議です。
途中、神明宮への分かれ道が。こちらでは伊勢神宮内宮・外宮の神様を祀っています。
なだらかな丘の上にあります。
天照大御神は神道の天津神で最高神なので、ほかの社殿・境内社よりも高いところに祀っている……のかもしれません。
昔は伊勢神宮の遥拝所でもあったそうです。
【礫石】室伏もビックリ!?14里彼方から飛んできた大石
ぐるっと回った場所にあるのが、礫(つぶて)石。
大昔、神様が「この石の落ちたところに宮を建てよ」とぶん投げた伝説があります
石の落ちたところが、ここ。なんと14里(約55km)彼方から飛んできたようです。室伏もビックリ。
長さは3メートル超で、高さも1.7メートルほどあります。
古代には祭祀が行われていたとも云われており、パワースポットとしても有名です。
【アクセス情報】市内中心からバスで20分。すぐ隣には善楽寺も
参拝所要時間は、境内をぐるっと廻って30分ほど。
JR高知駅・はりまや橋からのアクセス方法は、とさでん交通バスに乗車して一宮神社前で下車。(参考リンク: とさでん交通株式会社 )
「一宮神社前停」に停車するバス一覧
【G4】医大病院行
【G5】南国オフィスパーク行
【G6】領石出張所行
【G12】トーメン団地行
電車の場合は、JR土讃線の土佐一宮駅から徒歩15分でアクセス可能です。
徒歩30秒で四国八十八ヶ所札所・善楽寺
また土佐神社のすぐ隣には四国八十八箇所霊場の30番札所・善楽寺があるので、併せての参拝がオススメです。
善楽寺は元々この土佐神社の別当寺(*神仏習合時代、神社を管理するために建立された寺院)として建立されました。
が、明治時代には廃仏毀釈の余波で一時は廃寺になったり、札所の正当性を巡って紆余曲折あったりと、土佐神社と縁の深いお寺です。
こちらは次記事にてルポしたいと思います!